そんな人の為にラム酒について分かりやすく説明します。
そもそもラム酒とは?
ラム酒はさとうきびからできるお酒のことです。
英語ではRUM。日本語では、ラム酒やラムと呼ばれています。
世界には4万銘柄以上が生産され、世界中で愛飲されているとっても人気のお酒なんです!
お酒をイメージすると、ビールやワイン、ウイスキーなどがパッと思いつくと思います。
有名なお酒の分類として、ビールやワインは醸造酒、ウイスキーやブランデー等が蒸留酒です。
ラム酒はウイスキーやブランデーと同じ蒸留酒の仲間で、世界4大蒸留酒の内の一つと呼ばれています。
醸造酒
ビール
ワイン
蒸留酒
ラム
ウイスキー
テキーラ
ジン
ウォッカ
ブランデー
因みに【ジン・ウォッカ・ラム・テキーラ】は世界4大蒸留酒と呼ばれています。
こんな方にラム酒はおすすめ
- 甘口の蒸留酒を飲んでみたい!
- パーティー用にお洒落なカクテルを振舞いたい
- ウイスキーやブランデーのように香りと味をストレートやロックで楽しみたい!
- 煙草や葉巻を吸う・パイレーツオブカリビアンを見てお酒が飲みたくなった。。。等々
ポイント
樽熟成を行ったラム酒は、高級ウイスキーやブランデーのような極上の辛口や、ラム独自の個性が生んだ濃厚な甘口もあります。そして、ウォッカやジンのように透明なラム酒はドライでシャープなカクテルベースで使用されるように、幅広いバリエーションが魅力の一つでもあります。
世界中で愛されているラム酒ですが、銘柄がとても多いので、造るときの決まりやルールも複雑なのでは? と思いますよね。
しかし、実際はいたってシンプルなんです。
ラム酒のルールはひとつ
【さとうきびの絞り汁や糖蜜を蒸留したお酒】
これがラム酒のシンプルなルールです。あとは自由に造っていい。
ラム酒は【さとうきびの絞り汁や糖蜜を蒸留したお酒】と覚えておけば大丈夫です。
よほどの専門家でない限りラム酒の定義を、上記以外で語る人はめったにいません!
しかし、フランスやベネズエラ等ではラム酒造りにルールを設けており、他の国との差別化をはかっています。
こういった特別なルールを除けば、ラム酒は【さとうきびの絞り汁や糖蜜を蒸留したお酒】ですので、シンプルで覚えやすいかと思います。
文章だけ見ても分かりにくいので、実際にどのような流れでサトウキビからラム酒になるのか見ていきましょう。
ラム酒ができるまで~収穫から瓶詰まで~
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1サトウキビの収穫
サトウキビは、赤道地帯付近の熱帯地域で育ちます。西インド諸島、ハワイ、中南米、アフリカ、インドネシア、タイ、フィリピン、中国、インド、インド洋の島々、オーストラリア 島が主な産地。サトウキビは茎の中に蔗糖を貯めます。収穫時期は糖度がピークに達する乾期、北半球は11月~4月ごろで、南半球は6月~12月ごろです。収穫作業は手作業か機械を使用して行います。サトウキビは4m以上あるので、収穫は一苦労ですね。日本だと沖縄と鹿児島が有名な産地です。
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2圧搾
収穫後、サトウキビを洗浄し、圧搾して絞り汁を採取。絞ったあとのカスは「バガス」と呼び、ボイラーの燃料等、リサイクルされます。サトウキビの絞り汁はその性質上、劣化が早いので、作業は迅速に行います。ラム酒はサトウキビの絞り汁をそのまま利用する方法と、糖蜜を利用する方法に分けることができます。糖蜜を利用する方法は次のステップ3へ。絞り汁のみ使用する場合はステップ4へ。
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3結晶化
サトウキビの絞り汁を加熱することで、多くの糖分を含む糖液という濃縮された液体ができます。これを遠心分離器という機械に入れ回転させます。すると砂糖の結晶と糖蜜とに分けることができます。ここで分離された糖蜜(モラセス)がトラディショナルラムの原料となり、結晶の方が砂糖の原料になります。
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4発酵
次に*糖蜜(モラセス)に酵母を加え、発酵させていき徐々にアルコールへと変化させます。最終的に約8%から10%のアルコールを含むサトウキビワイン(味がきつくて飲めない)を造ります。原理としては、酵母が糖分を分解し、エチルアルコールと炭酸ガスに変化させています。この発酵の段階で、ラムの特徴となる「香り」の大部分が決まります。世界各地で色んな方法が試され、非常に広い芳香が存在します。カリブ海周辺での一般的な発酵時間は24〜36時間ほど。
*アグリコールラムの時はサトウキビの絞り汁に酵母を加える
※写真はイメージです。
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5蒸留
発酵が完了したサトウキビワインを熱します。そうすることで、沸点の低いアルコール成分から気体になります。気体になった部分を集めて冷却、冷却された気体から液体に戻り濃縮されたアルコールの摘出ができるという仕組みです。こうすることで、雑味成分等が薄くなり、アルコール濃度が高くなります。蒸留後のアルコール度数は約70%以上ほどにもなります。
※写真はイメージです。
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6貯蔵
蒸留後のアルコールは、ステンレスタンクで3ヶ月〜12ヶ月程度休ませながら加水されボトリングされます。これがホワイトラムと呼ばれます。
※写真はイメージです。
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7熟成
そして、貯蔵してあるアルコールを2年前後の間、樽に寝かせてから瓶詰されるものをゴールドラム、長期熟成をするものを熟成(ダーク)ラムといいます。ラムのルールがないため、熟成方法は各蒸留所ごとに異なります。たいていの樽熟成は古いバーボン樽で行われますが、他の樽で熟成させているところもあります。バーボン樽はラム酒で熟成を行う前にバーボン(ウイスキー)を熟成させていた樽のことをいいます。
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8瓶詰
樽熟成させていた原酒をブレンダーという職人さんが混ぜ合わせ(ブレンド)し、味、風味等のバランスを整えます。納得いく味が完成したら、そのラム酒を、瓶詰(ボトリング)し、ラベルを張り完成という流れになります。
大まかな流れですが、ラムは上記の過程を経て造られています。
ラム酒の豆知識
他の蒸留酒とは異なり、発酵に必要な糖分はすでに原材料に含まれている為、ラム酒は他の蒸留酒よりも原材料の味を多く残しています。ラム酒の特徴的な香りは、発酵に使用される酵母の種類、蒸留方法、熟成条件、およびブレンドによって決まります。
ラム酒の製造方法を知ったところで、ラム酒の大まかな種類を見ていきましょう。
ラム酒の製法と色による違い
世界的なルールではないのですが、主な造り方や色で名称がつけられています。
ラム酒には2つの製造方法がある
サトウキビから砂糖を生成する時にできる糖蜜(モラセス)をラム酒の材料として使用していました。
これがインダストリアル(トラディショナル)製法といわれており、ラム酒の9割がこの方法で造られています。
一方、フランス等の地域では絞り汁をそのまま使用することで、サトウキビの風味をより活かしています。
これがアグリコールラムといわれ、一部のラム酒ファンから絶大な人気があります。
① Industrial (インダストリアル製法)
砂糖を造る際にできる、糖蜜(モラセス)を使用
長期保存が可能で、生産が安定している
世界中にあるラム酒の9割はこの方法で造られている
トラディショナルラムと呼ばれる
② Agricole(アグリコール製法)
サトウキビの絞り汁をそのまま使用
長期保存ができないので、収穫時期にしか作業を行えない
熱処理をしないので、サトウキビの風味が強く残る
アグリコールラムと呼ばれる
熟成方法によって「ホワイト」「ゴールド」「ダーク」の3色に分類
蒸留したラム酒に行う熟成方法の違いで、「ホワイト」「ゴールド」「ダーク」の3色に分類されています。
ホワイトラム
ゴールドラム
White Rum(ホワイトラム):無色透明のラム。樽熟成を行わない、もしくは樽熟成後濾過をしている。カクテルベース向けのクセのないタイプか、原酒本来の味わいを楽しめるタイプがあります。
Gold Rum(ゴールドラム):薄褐色のラム。短期樽熟成、ホワイトラムに樽成分が加わり風味が滑らかになり、着色する。
Dark Rum(ダークラム):ゴールドラムより濃い色をしたラム。長期樽熟成、樽の風味と色を吸収し濃厚(特徴的)な味わいになる。
最後にラム酒のまとめです。
まとめ
- 【ラム】は「さとうきびの絞り汁や糖蜜を蒸留したお酒」です。
- さとうきびの利用法は主に二つ。①Industrial(インダストリアル製法)/糖蜜、②Agricole(アグリコール製法)/絞り汁
- 熟成方法によって「ホワイト」「ゴールド」「ダーク」の3つの色に分類される
いかがでしたでしょうか?
ラム酒について、簡単に説明させていただきました。
ラム酒のボトルには「ホワイト」「ゴールド」「ダーク」の文字が書いてある時があるので、意識してみると楽しいですよ。
その他にもラム酒のボトルには、英語で○○ラムと書いてあります。
今後はその意味の説明もしていければと計画しています。
記事を読んでいただきありがとうございました。