イギリス系ラム酒で有名なPusser'sについて紹介します。
また、パッサーズ(ブルーラベル)を実際に飲んだ感想もしていますので、ラム酒選びの参考になれば幸いです。
パッサーズとは?
パッサーズは海軍御用達のラム酒だった!
1700世紀半ばごろから1970年7月31日までイギリス海軍でしか配給されない為、海軍でしか味わえない幻のラム酒でした。
しかし、海軍の配給が1970年に終了してから、9年後の1979年に一般向けに販売されるようになります。
現在は気軽にネットで購入することができるので、当時のラム酒ファンからしたらこれほど喜ばしいことはなかったかと思います。
ボトルは海軍の特色をいかし、クールでお洒落なデザインに仕上がっています。
なぜ海軍で支給されていたのか?
ラム酒の歴史を見ると貿易と深い関わりがあります。
大航海時代、長い船上での生活は普段のような食事ができず、十分な栄養がとれませんでした。
栄養失調からくる壊血病という生死にかかわる病に船員達は悩まされていたのです。
その解決策の一つが、ラム酒にレモンや水で割った飲み物を飲むことでビタミンC等の栄養を補給することでした。
そして、イギリス海軍でもラム酒が支給されるようになりました。
名前の由来は事務長Pusserから乗員へのラム酒配給から
イギリス海軍の伝統でラム酒を配給するとお伝えしましたが、その配給している人に役職がありました。
その役職は「Purser/事務長」で、主に船内の補給を担当しているポジションです。
このPurserから配給されるラム酒のことが、いつしか、Purserのラム酒と呼ばれ「Pusser's」という名前になりました。
パッサーズ社について
パッサーズを製造している、パッサーズ社について見ていきましょう!
どこで作られているの?
パッサーズ社はイギリス領のバージン諸島にあります。
バージン諸島とはカリブ海にある諸島で、アメリカ領、イギリス領、プエルトリコの一部と3つの地域に分かれています。
ラム酒は南アメリカ大陸にある、ガイアナ共和国のデメララ(DEMERARA RIVER VALLEY)にある蒸留所で作られています。
デメララは1600年代からサトウキビの有名な生産地で、他にもエルドラドといったラム酒ブランドが、この地から生まれています。
パッサーズの特徴
最大の特徴といえば木製の単発式蒸留器です。
蒸留器といえば銅製品が主に使用されているのですが、パッサーズは木製にこだわっています。
1732年にはじめて木製の蒸留器が使用され、それから長い年月をかけて現代に受け継がれている。
改良や移転を繰り返したものの、その伝統は他の蒸留では味わえない、上品な香りを生み出します。
ただし、蒸留から木製だと金属製よりも、エンジェルシェア(蒸発してしまうお酒)が多いのでコストが高くなるのが難点。
しかし、パッサーズは伝統を貫き、木製の蒸留器でデメララ産(ガイアナ)サトウキビの糖蜜を贅沢に蒸留を行っている。
そして、蒸留後に焦げたオーク樽で最低3年間熟成され、滑らかな味わいになっていきます。
熟成についてですが、パッサーズに限らずガイアナのような熱帯地域での熟成は、寒冷地よりも早く蒸留が進みます。
なので、短い期間の熟成でも、長期熟成のような味わいになります。
※昔はトリニダードとガイアナの原酒を使用していたのですが、最近になってガイアナの原酒のみで作られています。
ネイビーラム
パッサーズは【ネイビーラム】という分類に属しています。
ラム酒には様々なスタイルがあるのですが、その内の一つがネイビーラムです。
パッサーズのように木製の蒸留器を使用したラム酒、そして、イギリス領に関係する、ガイアナ、トリニダード、ジャマイカ、バルバドスのラム酒をブレンドしたものがネイビーラムと呼ばれています。
下のラム酒はすべてネイビーラムですが、ボトルにNAVYと記載してあるので分かりやすいですね。
■PUSSER'S BRITISH NAVY
■PRIVATEER NAVY YARD RUM
■GUNROOM NAVY RUM
■BLACK TOT BRITISH ROYAL NAVY RUM
アルコール度数のプルーフについて
よく、お酒のボトルに151プルーフのようなアルコール度数がかいてあります。
実はラム酒と海軍からこの言葉は生まれているんです。
海軍ではラム酒を支給されるのが、昔の習慣でした。
支給されるラム酒のアルコール度数は54.5度が標準となっていました。
しかし、船によっては配給の時に水で薄めて配給することもあり、船員たちは薄まっているラム酒に気付き不満を表すこともありました。
そこで、Purser/事務長は船員達を納得させる為、ラム酒のアルコール度数がいつもと変わらないことを証明していました。
その方法とは?
昔は電子機器はなく、ましては船の上なので、原始的な方法でラム酒のアルコール度数を調べることになります。
それはラム酒と火薬(ガンパウダー)を混ぜて火をつけるという方法です。
このラム酒と火薬と混ぜるという発想が、当時は普通だったのが印象的ですよね。
【火をつけて下の三つの反応を確認】
①青い火がつけば適正なアルコール度数。
②バチバチっと火花が散れば、オーバープルーフといい、適正度数より高め。
③もし、火がつかなかったら、それは水で薄められたラム酒というわけですね。
この青い火がついた①のアルコール度数が【証拠(proofプルーフ)がある】と言われていたため、アルコール度数の強さをはかる名称がプルーフということになったのです。
あまり聞いたことない話ですが、想像すると面白くてちょっと納得しますよね。
パッサーズの銘柄
世界中のコンペティションで様々な賞を受賞しているパッサーズ。
それぞれのラム酒について紹介します。
ブルーラベル
風味豊かなで深い味わい。様々な賞を受賞しているネイビーラム。
最低3年熟成したラム酒です。
砂糖や蜜の香りが特徴的で、かなり印象的なラム酒で、覚えやすいです。
実際に飲んでみると、味はスパイスが少し大きいようですが、甘さとのコンビネーションが絶妙で余韻も心地よいです。
アルコール度数: 40%
容量:700ml
価格:2500円前後
ガンパウダー
パッサーズガンパウダーはイギリス海軍が船員達に配給していた時のアルコール度数54.5度と同じです。
リッチな味わいと、木製蒸留からくる独自の風味はスムースな味わいと力強さが魅力的な一本です。
ブルーラベルよりも風味がより濃くなっています。
アルコール度数: 54.4%
容量:700ml
価格:3500円程度
15年熟成
この15年熟成は「ラム酒のシングルモルト」と評されています。
少量限定生産でお値段は高いですが、デメララ産のラム酒の中でも最もバランスのとれたラム酒のうちの一つです。
公式ホームページにはこちらの15年だけグルテンフリーと記載されているので、気にしている方にはおすすめです。
アルコール度数: 40%
容量:700ml
価格:7800円程度
まとめ
いかがでしたでしょうか?
イギリス海軍御用達ラム酒パッサーズ。
世界には歴史が深いラム酒があるのですね。
【まとめ】
・1700世紀半ばごろから1970年7月31日までイギリス海軍でしか配給されていない幻のラム酒
・名前の由来は事務長Pusserから乗員へのラム酒を配給していた伝統から
・珍しい木製の蒸留器を使用
・15年熟成はラム酒のシングルモルトと評される
・ネイビーラムと呼ばれ、プルーフはアルコール度数を証明する証拠
最後まで読んでいただきありがとうございます。
英語ですが、YOUTUBEにパッサーズの紹介動画がありましたので、リンクを載せておきます。
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参考にしたサイト:
Pusser's 公式HP : https://pussersrum.com/