今回はそんな方の為にボトルに書いてある【Rum・Ron・Rhum】について紹介し、ラム酒の歴史も紹介します。
この記事はこんな人におすすめ
- ラム酒についてよく知らない
- ラム酒が気になる
- どうやってラム酒を選べばいいのか知りたい!
この記事を読んでいただければ、
- ラム酒のボトルにはなんで、RumとRonとRhumが記載されているのか知っている
- ラム酒の歴史的背景について詳しくなる
上記のような知識を得ることができます。
Rum・Ron・Rhumの違いとは
早速ですが、ラムのボトルには、Rum、Ron、Rhumと三つの内いずれかの表記があります。
これはズバリ!言語の違いです!
- イギリス語 → Rum(ラム)
- スペイン語 → Ron(ロン)
- フランス語 → Rhum(ラム)
ではなぜボトルごとに記載している言語が違うのでしょうか?
これは300年以上昔の大航海時代、カリブ海や中米、南米(サトウキビの産地)を支配していた(旧)宗主国の言語が影響しているからなんです。
こういう知識をしっていくと面白いですよね。加えて、植民地支配していた国によって味の傾向が異なったりするんです。
今回は宗主国の違いが、ラム酒の味をどう変化させたか、歴史を見てみましょう!
ラム酒の簡単な歴史~蒸留技術を受け継ぐまで~
では分かりやすく、順序をおってラム酒がどうやって誕生したのかを紹介します!
そして次に、どういう経緯で宗主国の違いがラム酒の味を変化させたのかを説明していきます。
ラム酒が誕生するまで
元々カリブ海にはサトウキビはなかったのですが、15世紀末にコロンブスがサトウキビの苗をヨーロッパからカリブ海へ持ち込んだことから、カリブ海でのサトウキビ生産が盛んになります。
16世紀、カリブ海の気候がサトウキビの栽培に適しているとわかると、当時高級品だった砂糖をより多く生産し、多くの利益を上げようと、ヨーロッパの列強国は南米やカリブ海周辺を植民地にしてサトウキビのプランテーションを行いました。
さとうきびから砂糖を生産する過程で、結晶化した糖分(砂糖)と液体のままの糖分の二つができます。
この液体の方を糖蜜(モラセス)と呼ぶのですが、この糖蜜を発酵させ蒸留させるとラム酒になります。
Rum Curiousというラム酒の本からの引用ですが、ラム酒は16世紀後半に誕生したといわれています。
「ヨーロッパの商人は高価で売れる砂糖を売り、糖蜜は栄養価が高いため、はちみつの代用品として利用したり、糖蜜に雨水を加え自然発酵させていました。
そして時が流れ、誰かが、モラセスを発酵させて蒸留をするようになりラム酒という蒸留酒が誕生しました。」
e.g. “Their owners sold the sugar, but the molasses was set aside, where rainwater was added and it fermented naturally. Molasses could be sold and used as a sweetener too, but the fermented molasses was enjoyed by the slaves and by poor whites. At some point, somebody distilled this fermented molasses, and rum was born.”
出典元:Rum Curious (Minnick, 2017, p. 31).
ラム酒の品質向上
ラム酒が誕生した後、当時は今よりも文明が発達しておらず、蒸留技術や熟成技術が確立していません。昔のラム酒はおいしくはないと言われていました。
そんなラム酒をもっと美味しくしようと考えたヨーロッパの列強国、イギリス、スペイン、フランスが、本国の蒸留技術を植民地に伝授し、ラム酒の味を高めることに成功しました。
この本国の技術というのがとても重要で、のちにラム酒の生産過程に影響をあたえてきます。
各国の伝統の技術はこの3つ!
- イギリスは【ウイスキー】
- スペインは【シェリー】
- フランスは【ブランデー】
スコッチ、シェリー、ブランデーの技術を継承したことで、各地のラム酒が独自の進化を遂げ、現在に至っているという訳なのです。
具体的にイギリス系のRum・スペイン系のRon・フランス系のRhumがそれぞれどのように発展したのか、特徴を見てみましょう。
Rum・Ron・Rhumのそれぞれの特徴
Rum・Ron・Rhumはそれぞれ特徴が異なります。もちろん蒸留所によっては異なる特徴もありますが、味の傾向が似ています。
イギリス系のRUM
イギリスの植民地だった国では、ウイスキーの技術を継承
比較的重い味わい、風味が豊かで香りが強い傾向がある。
単式蒸留機との連続式蒸留機の両方の原酒を使用する、ブレンデッドウイスキーのようなブレンド技術を使用する蒸留所もあります。
主な生産地域
ジャマイカ、ガイアナ、バルバドス、トリニダード・トバコ、バージン諸島、アンティグア、セントルシア、他
※イギリスの元植民地でない産地でも、ラム酒を示す時【Rum】を使用する場合があります。その際は純粋にラム酒として味わっていただければと思います。
スペイン系のRON
スペインの植民地であった国では、シェリーの技術を継承
①Rumよりもライトで優しい味、一方で②甘く重厚な味、の2つの特徴をもっている。
ソレラシステムと呼ばれる、シェリーのような樽熟成の技術を使用している蒸留所も有名です。
スペイン系はモヒートやダイキリ、キューバリブレなど、有名なカクテルの発祥地が多く存在します。
主な生産地域
キューバ、プエルト・リコ、ドミニカ共和国、ベネズエラ、グアテマラ、ニカラグア、パナマ、ペルー、他
フランス系のRHUM
フランスの植民地だった国、現フランスの海外県では、ブランデーの技術を継承
アグリコールラム(さとうきびの絞り汁100%を使用)が多く、サトウキビ本来の風味とフローラルでフルーティー、繊細でシャープな味わいが特徴。
ブランデー(コニャック)のように、等級を使用している蒸留所は、ボトルに【V.S.O.P/X.O】の表記が目印です。
フランスの海外県であるマルティニーク島、等ではフランス原産地呼称制度 【A.O.C】があり、独自の伝統を守っています。
主な生産地域
キューバ マルティニーク島、グアドループ島、ハイチ、レ・ユニオン島、モーリシャス(蒸留所によってはRumと記載するところもある)、他
地域毎に特別な名称やルールもある
大航海時代の歴史的背景からカリブ海周辺のラム酒は、イギリス、スペイン、フランスの蒸留技術を受け継ぎ発展してきました。
品質が発展することや伝統を守る為、地域によっては独自のルールがつくられた例もあります。
有名な地域別の特別なルールを紹介しますね。
Navy Rum
Ron de Venezuel
A.O.C(原産地統制呼称)
Cachacaと呼ばれる蒸留酒
【CACHACA(カシャッサ)】と呼ばれるブラジル原産のさとうきびが原材料の蒸留酒があります。
同じ原材料の蒸留酒ですが、歴史的にみると、ラム酒ではありませんのでご注意ください。
こちらはポルトガルとオランダが歴史に深く関わっています。
まとめ
- イギリス系のRum:ウイスキーの技術・比較的重い味わい、風味が豊かで香りが強い傾向
- スペイン系のRon:シェリーの技術・①Rumよりもライトで優しい味、一方で②甘く重厚な味、の2つの特徴
- フランス系のRhum:ブランデーの技術・アグリコールラムが多く、サトウキビ本来の風味の香りとフルーティーで繊細でな味わいが特徴
いかがでしたでしょうか?
今回はRum・Ron・Rhumの意味をお伝えさせていただきました。
こうやって知っていくと面白いですよね。
でも、ラム酒の歴史はまだまだ紹介しきれていないので、よかったら別の記事も覗いて見てください。